2つの講演  その2、伊賀音楽療法研究会での勉強会

 三重県の伊賀地区は、音楽療法推進の先進地域で、定期的な音楽療法講座が継続され、先般僕が講師を務めた12月18日は、なんと第134回でした。積み重ねられた数字に、すごいことだな、と素直に感心しました。

 実は、ここも対面で講演会を開催するのは、久々のことであったとのことです。

 冷たい日で、道路の凍結なんかも心配したんですが、幸い午後は日差しに恵まれました。

 

 僕が伊賀で講師を務めるのは、3回目か4回目くらいかと思います。役員の皆さんとは、長年の音楽療法士仲間として、すっかり顔なじみ、いつと変わらぬ温かいもてなしも受けて、心地よく、参加者の前に立つことができました。

 今回のテーマは、「音楽療法の過程で生まれる物語 ~課題への視点ともう一つの視点~」としました。

 

 音楽療法では、特に専門性を意識すると、目的、方法を定めて、実践し、これを予め定めた目標に照らして、客観的に吟味しようとする、という筋道があります。

 

 音楽療法士の専門的な検証を否定するつもりは毛頭ありません。でも、それはそれとして、現場では思いも寄らない、面白いことがいっぱい起こってくる、そこを紡いでいく視点も、実は意味があるんじゃないか、ということで、いくつかの事例を動画を交えて紹介しました。

 

 ここは、音楽療法講座ですから、実際に音楽療法に取り組んでいる人たち20名ばかりのご参加がありました。専門家を目指すからこそ、素人の視点に立ち返って、素直に面白がったり、がっかりしたり、びっくりしたりする姿勢、そしての背景を探る気持ちは、大事なんじゃないかと、つくづく思います。

 僕が、著書「うただまの経巡り」で描いた物語、そういう視点から、再度ご自身の活動を振り返っていただければ、面白いこともいっぱい出てくるんじゃないかと、言いたかったわけです。

 

 ここでも3時間、皆さん、ばっちりと熱心に話を聞いてくださいました。何より、久々に対面での講習会が実現したことに、スタッフの方が安堵し、喜んでみえたこと、僕も同じ気持ちで、「ああ、みんなが普通に集まれるのは、ありがたい場なんだなあ」と嬉しく思いました